Bone and Joint Decade 運動器の10年 2000-2010
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平成27年度 運動器の10年・日本賞
審査委員による選評


 当協会では、今般の審査にあたり、理事の中から5名と賛助会員(ゴールド)3社から審査員に参画していただき、下記の8名による審査委員会で厳正な審査を行いました。

審査委員
松下 隆 専務理事
武藤 芳照 業務執行理事
稲波 弘彦 業務執行理事
新井 貞男 業務執行理事
三上 容司 理事
二見 晋平 小野薬品工業(株) 営業企画推進部 理事・部長
田中 明生 中外製薬(株) フェロー(常勤顧問)
間渕 清貴 日本イーライリリー(株) 筋骨格事業本部営業統括部長
 


運動器の10年・日本賞 選評
「御代田町はつらつサポーター」

御代田町はつらつサポーター・会長
西 きく江 氏
 
 御代田町の介護保険料は平成18年度には長野県内2位にまで上昇した。そこで「介護予防教室」を開始するなど町をあげての介護予防活動が始まり、平成21年からは「生活・介護支援サポーター」の養成を開始した。この養成講座のユニークな点は受講者が50代から80代までの高齢者及び高齢者予備軍であることであり、1年を1単位として高齢者の精神・身体的特徴や制度の理解、ボランティアの役割、高齢者施設などについて学び、卒業生のうち約60名が「はつらつサポーター」として地域で活動している。平成27年3月にはこれらのメンバーで「御代田町はつらつサポーター」を設立し、町から委託を受けて住民主体の通所型サービスBに該当する「はつらつ介護予防教室」をスタートさせた。
 その結果、平成18年には15.31%であった介護認定率は着実に下降し、平成27年10月現在11.65%と長野県で最も低く、全国でもベスト30に入るほど低い水準になっている。このように「御代田町はつらつサポーター」の活動は、高齢者自らが主体となって長年にわたって介護予防に取り組み、目覚ましい成果を上げているとても良い企画であり、運動器の10年・日本賞に相応しいと評価した。 
松下 隆 審査委員

運動器の10年・優秀賞 選評
「地域の子どもから高齢者までを対象とした足趾握力と身体機能の関係についての調査・研究と足趾握力の重要性についての啓蒙活動」

畿央大学健康科学部理学療法学科
助教 瓜谷 大輔 氏
 
 足趾筋力測定器を新たに開発し、その信頼性を検討し、日本人成人男女の性別・年代別の足趾握力標準値を調査した。それをもとに、未就学児における足趾握力と体力との関係を調査し、足趾握力の経年的な増強とともに、足趾握力が短距離走や跳躍力、瞬発力と関連することを報告した。また変形性膝関節症を有する高齢女性は健康女性と比較して足趾握力が低下していることや、高齢者では足趾握力は動的バランスを示すファンクショナルリーチテストとは関連しないが、機能的運動性を示すTimed Up and Go testと関連することを報告した。この結果をもとに高齢者に対し、足趾機能の重要性の啓発と運動プログラムの指導を行っていることを評価した。
新井 貞夫 審査委員

運動器の10年・優秀賞 選評
「脊髄損傷の予防・啓発活動〜脊髄損傷ゼロをめざして」

日本脊髄障害医学会 脊損予防委員会
委員長 須田 浩太 氏
 
 脊髄は、運動器の最も重要な部位であり、ひとたび損傷を受けると、運動・感覚のマヒにとどまらず、その神経支配を受けるすべての機能や臓器の障害をきたす。結果、あたら若い人材の活躍の機会と場、時に命をも奪ってしまう。
「予防に勝る治療はない」の基本理念から、本委員会は、スポーツ事故、とりわけ水泳のスタート(飛び込み)事故に伴う脊髄損傷の予防のための社会啓発活動を精力的に行い、成果をもたらした。今後さらに中学校武道必修化に伴う柔道の事故による脊髄損傷をも視野に入れて予防活動を強化する。きわめて社会的意義の大きな取り組みとして高く評価したい。
武藤 芳照 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
運動自主グループ育成・継続支援「この土地で、共に暮らしていくために」

東北文化学園大学医療福祉学部
リハビリテーション学科理学療法学専攻
黒後 裕彦 氏・三木 千栄 氏
 
 本事業は、平成22年より3つの各小学校区に、運動自主グループ育成をめざした活動と、継続支援に取り組み、平成24年度末までに自主グループ育成に至った。平成25年度以降も、継続支援とともに体力測定の調査結果を地域に報告する事で予防の啓発活動にも貢献された。本事業においては、継続支援のため、包括支援センター、グループリーダーに深く関わり支援しながらも、自主的な運動習慣の啓発に努められている事が運動器の10年・奨励賞の根拠となった。
二見 晋平 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
「福岡地区における骨粗鬆症大腿骨近位部骨折のInformation Technologyを活用した広域ネットワーク研究・骨折負の連鎖の予防を目指して」

九州大学整形外科 人工関節・生態学講座
准教授 松本 嘉寛 氏
 
 わが国では、高齢化の急速な進展に伴い骨粗鬆症患者が増大し、大腿骨近位部骨折が増加している。また、この骨折を受傷した患者は高頻度に反対側に骨折を生じる。大腿骨近位部骨折は、高齢者の歩行能力を奪い、QOLを下げ、生命予後を脅かす。松本氏らは、福岡地区において既存の病院ネットワークを利用し、大腿骨近位部骨折患者のデータをweb上で登録できるシステムを開発した。すでに、1000例以上の症例が登録され、本骨折に関わる基本情報が解析されつつある。本事業により集積されたビッグデータを解析することにより、大腿骨近位部骨折の実態が明らかになり、二次性骨折の予防研究が進展することが期待される。運動器の10年・奨励賞にふさわしい事業である。
三上 容司 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
『足腰いきいき!ロコモ検診−自治体と連携した運動器の健康維持啓発事業』

鳥取大学医学部付属病院 リハビリテーション部 松本 浩実 氏
鳥取大学医学部附属病院 整形外科 谷島 伸二 氏
鳥取大学医学部保健学科 谷村 千華 氏
 
 松本氏らは、平成26年度より鳥取県西部地区で地域住民の運動器の健康維持を目指して、医師、理学療法士、看護師・保健師が運動器検診をスタートした事業で、検診により住民に自身の運動器の状態を知ってもらうだけでなく、行政や自治体とも共同して、運動器の機能維持改善及びロコモ予防策を展開していることが特徴である。
 2年間の事業で、ロコモでは骨粗鬆症やサルコペニアの割合が高いことやサルコペニアを有する住民は腰痛による身体の能力の低下が顕著であること等がわかり、今後は、健康対策やロコモ予防啓発活動の継続と運動介入等も計画しており運動器の10年・奨励賞に相応しいと判定した。
間渕 清貴 審査委員

運動器の10年・奨励賞 選評
医療機関と健康増進施設の連携による変形性膝関節症へのトータルサポート
〜発症・再発予防までを目指した新しい支援体制構築に向けて〜

変形性膝関節症に対するトータルサポート研究会
代表 中村 立一 氏
 
 本活動のもっとも評価された点は、地域のメディカルセンターとスポーツジムが連携し、約5年間にわたり膝OAのトータルサポートを継続しOA疾患の啓発に大いに貢献されていると同時に、実際に病院からジムでの健康づくりにスムーズに移行させるシステムの素晴らしさにある。
 支援体制は実施者も言う保険診療とその枠を超えた新しい連携組織である。病院からジムへの紹介・入会者数が倍増している事、ジム入会者の運動継続(6ヵ月)率が80%を超え、術後の的確な運動指導で運動器の改善や筋力回復がはかられ、再発や新たな部位の発症予防に成果が出つつある。更なる参加者の拡大と膝健康講座の発展を期待したい。
田中 明生 審査委員

 

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