コラム 2019.03.07

教えてドクター! 冷シップと温シップの使い分けは?

回答:使い分ける必要はあまりありません。使用感の好みで大丈夫!

回答ドクター:松下隆先生(福島県立医科大学外傷学講座 主任教授/総合南東北病院外傷センター センター長)

 捻挫や打撲、骨折などの外傷、リウマチやギックリ腰の初期など、急性の炎症を起こしている場合は、冷やした方が炎症反応は軽減します。したがって急性の炎症には冷シップが適しています。しかし、その冷却効果は、気化熱などによるものであってそれほど大きなものではありません。そこで冷シップの上から、氷嚢で冷やすほうがより効果的です。

 いっぽう、腰痛や肩こりなどの慢性の炎症は、一般的に温めたほうがよいとされています。しかし、市販の温シップは、外から熱を与えているわけではなく、カプサイシンなどの皮膚を刺激する成分を含んでいて、皮膚の毛細血管が拡張し、皮膚温がわずかに上がるだけです。慢性の炎症で温めたい場合は、冷シップでも温シップでもよいのでその上から使い捨てカイロ等で温めるほうが効果的です。

 ちなみにシップには、大きく分けてフェルトの布に薬剤を厚めに塗ったパップ剤、ポリエチレンフィルムなどに薬剤と粘着剤を一緒に薄く塗ったテープ剤があります。パップ剤もテープ剤も、主成分として非ステロイド消炎鎮痛薬が含まれており、消炎鎮痛効果を発揮します。この効果は冷感タイプでも温感タイプでも同じですので、選択は使用感で判断し、先に述べたように冷やしたり温めたりしたい場合は、氷嚢、使い捨てカイロなどを利用すればよいでしょう。

 テープ剤は薄くて伸縮性もあり、はがれにくいものが多いので、関節周囲など動きの大きい部分に適しています。しかし作用の面からいえば、パップ剤とテープ剤には厳密な使い分けはなく、使う人の好みでいいでしょう。

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