疾患ナビ 2025.10.27
安静にしておくべき? 腰痛や関節痛など痛みの悪循環を断つために。(神戸学院大学総合リハビリテーション学部 松原貴子先生)
一日中、デスクワークで、腰が痛い、膝が痛い…..など、慢性的な痛みを抱えていると、なるべく動かずに安静にしようと思っていませんか? 実は、それがますます痛みの悪循環を招いている、というんです。この痛みの悪循環に詳しい神戸学院大学総合リハビリテーション学部・松原貴子(まつばらたかこ)先生が教えてくれました。
慢性疼痛と運動療法―痛みの悪循環を断ち切るために
腰痛や関節痛など運動器の「慢性疼痛」は、ケガや病気をきっかけに始まることもありますが、その後は「痛みの悪循環」によって長引きやすいことがわかっています。たとえば痛みがあると動くのが怖くなったり億劫になったりして、身体をできるだけ安静にすることでやり過ごそうとします。身体を守るつもりで動かさずにいると、筋肉や関節は弱くなり、血流も悪化してさらに痛みが強くなる…という悪循環に陥ってしまいます。

このような「動かない生活習慣(ライフスタイル)」が、痛みを悪化させる大きな要因になることがわかっています。そのほかにも、慢性疼痛にはいくつかのリスクファクター(なりやすい条件)が知られています。
- 運動不足や長時間の座位(セデンタリー生活)
- 睡眠不足や質の悪い睡眠
- 栄養の偏り(筋肉や骨の維持・修復に必要なタンパク質・ミネラル不足など)
- 精神的ストレスや不安、抑うつ
- 脆弱な社会的支援 など
これらは互いに関連し合い、「痛みを感じやすい状態」をつくってしまいます。
1 2