疾患ナビ 2019.03.05

高齢者が陥りやすい恐ろしい「骨折の連鎖」とは?

 転んですってんころりん!  転んで背骨を骨折したお年寄り。治ったと思ったら再び転んで、今度は手首を骨折した!

 という具合に、骨折を繰り返す人が身近にいませんか?

「あれあれ、不幸続きね」と思ってしまいますが、じつはこれは偶然ではありません。「骨折の連鎖と言って、原因があるんです」というのは新潟大学大学院整形外科の遠藤直人先生。

1 骨折を繰り返す人の特徴

「骨折を繰り返す人というのは、高齢者の骨粗しょう症の方に多く見られます。骨粗鬆症とは、骨密度が低下して、骨が弱く脆い状態になる病気です。脆い骨は弱い衝撃でも骨折しやすく、1度骨折をしたら、何度も骨折を繰り返してしまうんです。ちなみに骨粗しょう症が原因の骨折を専門用語で「脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)」と言います。

 海外の研究結果では、背骨を骨折した人が手首を骨折するリスクは1.4倍。脚の付け根を骨折するリスクは2.3倍、再び背骨を骨折するリスクは4.4倍という具合に、脆弱性骨折をすると次の骨折へのリスクが高まります。このような骨折の連鎖を別名で「二次骨折」と呼びます。

2、骨折の連鎖は、予防と治療不足にもある

「二次骨折」を起こしてしまう人は、確かに骨粗鬆症が原因ですが、それだけが問題ではありません。加齢による神経機能の低下、体力の低下など避けがたい自然な老化も一因ではありますが、それよりも大きな要因には、

①骨粗しょう症の予防や治療の継続をしていない 

②運動や活動不足によって、筋肉・骨、神経といった運動器が加速的に衰えている。

 などがあるんです。つまり、自分でできる「二次骨折予防」をしていなかった結果でもあるんです。

 一度転んで、背骨の骨折や脚の付け根を骨折すると、日常生活に支障をきたします。ますます活動量が減って、筋肉が弱く、骨も脆くなって、前よりも増して転倒するリスクが高まってしまうんです。こうなると負のスパイラルです。

3、骨折の連鎖の恐怖から脱出しよう

 骨折は治ります。が、骨折が何度も繰り返されると、寝たきりになりやすく、なおかつ寿命が縮まってしまいます。これは、骨折を治療している期間、活動量が大幅に減って、これを繰り返していると、介助や介護が必要になって、結果、体の衰えが加速して、寝たきりになるケースが非常に多いのです。寝たきりになると、寿命そのものが短くなってしまうのです。それだけお年寄りの骨折は非常に危険。

 そこで、元気に長生きのためには、骨粗しょう症の予防は必須。また、骨粗しょう症と診断された人は、治療の継続をしっかりと続けることです。

 骨粗しょう症の予防に関してはぜひ、以下を参照してください。

https://www.bjd-jp.org/wp/archives/column/701

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