疾患ナビ 2023.10.03

それ本当にただの肩こり? 手足のしびれが伴う場合に疑うべき「頚椎椎間板ヘルニア」の恐ろしさ

日本人の国民病とも言える肩こりや首こり。事実、首や肩に痛みを覚えている人は日本に約1000万人いるとも言われています。しかし、ただの肩こりと侮るなかれ。

「肩や首のこりに、“しびれ”が加わると非常に危険です」と警鐘を鳴らすのは、自治医科大学整形外科教授で整形外科医の竹下克志先生。実は肩こりの種類によっては、危険極まる症状の前触れである可能性もあるというのです。

今回は、竹下先生に肩や首のこり+しびれがもたらす「頚椎椎間板ヘルニア」の特徴とそのメカニズムについて伺いました。

その肩こり、「頚椎椎間板ヘルニア」の予兆かも?

   首・肩が痛い、というのはよくある症状ですが、そこに手足のしびれが伴う場合、「頚椎椎間板ヘルニア」が疑われます。同じ姿勢を長時間続けたり、加齢による椎間板が老化したりすることが原因で、30歳~50歳に多くみられる病気です。

  頸椎椎間板ヘルニアは、手の痛みやしびれといった神経根の症状が現れます。背骨を構成している椎骨が変形したり中身が飛び出したりして神経根を圧迫します。

  椎間板は、背骨を構成する椎骨と椎骨の間にある軟骨。重い頭を支えながら、前後左右に回す・衝撃を和らげるなどの役割を果たしています。外側の「線維輪」と中央の「髄核」という2層構造になっていますが、その髄核が飛び出して、神経根や脊髄を圧迫するのです。

「椎間板は体の中でも早く老化が始まり、20歳過ぎくらいから老化しはじめる部位。髄核が押しつぶされたり、線維輪に亀裂が入ったりして痛みを生じます。はじめのうちは首の後ろや首の付け根から肩にかけて痛みを感じますが、進行すると手指の先までしびれや痛みが出るのが特徴です」(竹下先生)

  軽度のうちは症状が現れず、首の痛み⇒手のしびれになって初めて異常に気づきます。手のしびれに続き、脚のしびれや歩行障害など脚にも症状が現れたり、手の動きがぎこちなくなる巧緻(こうち)運動障害(箸使いやペンによる執筆など細かな作業ができない状態)が出ると、いよいよ脊髄にも障害が及んできたことになります。かなり重症になると、頻尿・尿漏れといった排泄異常も起こります。

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