コラム 2026.06.29

ゴルフ腰痛は「腰を回す」前に体の使い方を見直そう ~整形外科医が教える、スコアにも腰にもやさしい関節別ストレッチ&体幹コントロール~ 【1】「腰を回す」前に胸椎から!

腰に多少の痛みがあっても、プレーせずにはいられない――。そんなゴルファーは少なくありません。読者の方の中にも、腰に不安を抱えながらゴルフを続けている方がいるのではないでしょうか。

 

しかし、腰に不安を抱えたまま無理に続けていると、理想的なアドレス姿勢が崩れ、スイングにも影響が出やすくなります。その結果、スコアにも腰にも、よくない悪循環が生じることも・・・

 

そこで今回は、腰痛治療のスペシャリストとして数多くの腰痛ゴルファーを救ってきた整形外科医・松平浩(まつだいら・こう)氏に、腰にもスコアにもよいアドレス・スイングづくりに向けた基本的な知識を、医学的・運動学的な視点から全3回にわたり解説してもらいます。1回のテーマは「胸椎」です。

 

 腰痛に悩むゴルファーの中には、関節の本来の役割を十分に生かせず、動き方に偏りが生じている人が少なくない、と松平氏は言います。

 

 キーワードは「ジョイントバイジョイント理論」。人体には、主に安定性、つまりスタビリティを担う関節と、主に可動性、つまりモビリティを担う関節があり、それらが隣り合うように配置されています。どこかの関節が本来の役割を果たせていないと、その隣の関節に過剰な負担がかかりやすくなる、という考え方です。

ジョイントバイジョイント理論を図解

 

 この「ジョイントバイジョイント理論で説明すると、上体をひねる動作は本来、モビリティを担う胸椎の役割が大きいと考えられます。一方で、腰椎は大きくひねるというより、スタビリティを担う方が理にかなった部位なのです」(松平氏・以下同)

 

 ゴルフレッスンなどでは「腰を切る」「腰を回す」と表現されることがあります。しかし、それを文字どおり腰椎から強くひねる動きとして捉えてしまうと、腰に過度な負担がかかりやすくなるため注意が必要です。

 

 胸椎の可動域が狭く、しなやかに動かせない人は、上体の回旋を補うために、結果的として腰椎から無理にひねってしまう傾向があります。さらに、腰まわりのインナーマッスルが使えていないと、腰椎への負担はさらに大きくなります(これについては連載第3回で解説します)。

 

 これが、腰痛とスイングの乱れにつながる悪循環の一因になると考えられます。

 そこで大切なのが、胸椎のモビリティを少しずつ高めること。

 

 「胸椎の動きがよくなれば、背筋が自然に伸びたきれいなアドレスをつくりやすくなります。また、上体の回旋もしやすくなり、腰だけに頼らないスイングにつながります」

胸椎のしなやかさを取り戻すストレッチ

 

【準備体操】

 胸椎のストレッチを行う前に、まず肩甲骨まわりを軽くほぐしておきましょう。肩甲骨まわりが動きやすくなると、上体をひねったり、反らしたりする動きも行いやすくなります。

 以下の動画「肩こり これだけ体操」も参考に、ひじで大きな円を描くように、肩を前回しまたは後ろ回しで20回程度、ゆっくり回しましょう。

 前回しと後ろ回しのどちらが動かしやすいかは、人によって異なります。実際に両方を試してみて、ご自身が「気持ちいい」「動かしやすい」と感じる方向を選んでください。痛みが出る場合は無理をせず、動かす範囲を小さくしましょう。

 

「肩こり これだけ体操」の動画はこちら:

 

【胸椎回旋ストレッチ(おしぼり体操)】

椅子に座り、右足を組んで、左手を右膝に添える。

右手を肩の高さに上げて伸ばし、右後方、時計の針でいう5時方向を目標に、息を吐きながら、上半身だけをゆっくりひねり、6秒キープする。これを4回繰り返す。

ポイントは、おへそは正面に向けたまま、腰ではなく胸から後ろへ引くように意識することです。テークバックからバックスイングに向けても、“胸を回す”より“胸から後ろへ引く”意識の方が、胸椎の回旋をつかみやすいでしょう。

反対側も同様に行う。左右差がある場合は、動かしにくい側を無理のない範囲で少し丁寧に行う。

 

「胸椎回旋ストレッチおしぼり体操」の動画はこちら:

出典:『コシトレ 動けるカラダにリセットできる攻めストレッチ』(Gakken

 

【胸椎伸展ストレッチ(バックエクステンション)】

背もたれのある椅子に座り、脚を肩幅より広めに開く。

両手を後頭部で組み、胸を開く。

息を吐きながら上体を後ろに反らし、椅子の背もたれに体をゆっくり預ける。このとき、アゴを軽く引き、腰が反らないように注意する。

イタ気持ちいい程度のところで6秒キープする。これを8回繰り返す。

 

「胸椎進展ストレッチ(バックエクステンション)」の動画はこちら:
https://vimeo.com/user66224884/review/1110225350/18e5a78899

出典:『コシトレ 動けるカラダにリセットできる攻めストレッチ』(Gakken

 

強い痛みやしびれがある場合、また運動中に症状が悪化する場合は、無理をせず医療機関に相談してください。

 

【告知】
2026
629日(月)より、『NHKきょうの健康』にて、松平浩先生が担当する「腰痛原因を捉え直す新常識~腰痛の原因は一つでない! 関節・椎間板・筋肉・神経タイプに合った運動が対処のヒント」が4日間にわたり放送予定です。

https://www.nhk-book.co.jp/detail/000016491072026.html

テーラーメイド腰のクリニック 院長 松平浩(まつだいら こう)

整形外科医・医学博士。順天堂大学医学部卒業。2016〜2023年まで東京大学医学部附属病院22世紀医療センター特任教授として、腰痛治療と研究に従事。腰痛・腰曲がり治療、腰部脊柱管狭窄症、運動療法、姿勢・歩行指導を専門とし、腰に不安を抱えるゴルファーの運動療法やメディカルフィットネスにも取り組む。2018年より「The Best Doctors in Japan」に8年連続選出。

 

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