コラム 2026.06.26

「ブロッコリー」は筋肉増強に最強? 筋トレ愛好家に人気の理由と、じつは「枝豆」もすごかった理由。

ボディビルダーや筋トレ愛好家が好む食材はというと、「鶏肉とブロッコリー」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

実際にSNSや動画でも、減量中の定番メニューとしてブロッコリーがよく登場します。

しかし、「なぜ筋トレする人はブロッコリーを好むのか?」と聞かれると、「筋肉に良いから」という漠然としたイメージしか持っていない人も少なくありません。

いったいなぜブロッコリーは筋肉増強に最強の野菜と言われているのでしょうか。

また、実は「ブロッコリー」だけでなく、「枝豆」も筋肉づくりや健康維持に役立つ栄養素を豊富に含む優秀な食材だと教えてくれたのは、管理栄養士・健康運動指導士のTejin(テジン)先生です。

そこで、今回は、ブロッコリーと枝豆の最強っぷりを比較しながら、それぞれの魅力について解説してもらいました。

筋肉づくりに野菜が必要な理由

 筋肉をつけるためにはたんぱく質が重要です。そのため、鶏肉や魚、卵、乳製品などを意識して摂っている人も多いでしょう。

 しかし、筋肉づくりはたんぱく質だけでは完結しません。

 トレーニング量が増えると身体では活性酸素が発生しやすくなります。また、高たんぱく食が続くことで食物繊維不足になり、腸内環境が乱れる場合もあります。

 さらに、たんぱく質や糖質、脂質をエネルギーとして利用するためには、ビタミンやミネラルも必要です。

 そのため、筋肉づくりには「たんぱく質を摂ること」だけでなく、「野菜からビタミンやミネラル、食物繊維を補給すること」も重要になります。

ブロッコリーが筋トレ愛好家に人気の理由

 ブロッコリーは筋トレの定番野菜として知られていますが、その理由はたんぱく質量の多さではありません。

 筋トレをしている人は、鶏肉や魚、卵などから十分なたんぱく質を摂取していることが多い一方で、それらの食品にはビタミンCがほとんど含まれていません。

 ビタミンCはコラーゲンの生成や抗酸化作用に関わる栄養素であり、健康維持やコンディショニングのためにも重要な栄養素です。

 そこで注目されるのがブロッコリーです。

 ブロッコリーには100gあたり140mgのビタミンCが含まれており、肉類や魚介類では補いにくい栄養素を摂取することができます。そのため、高たんぱく食になりやすい筋トレ愛好家にとって、鶏肉とブロッコリーの組み合わせは理にかなった組み合わせと言えるでしょう。

参考:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

 また、ブロッコリーにはスルフォラファンという特徴的な機能性成分が含まれています。スルフォラファンはアブラナ科野菜に含まれる成分で、抗酸化作用や抗炎症作用との関連が研究されています。

 筋力トレーニングや持久系運動を行うと、体内では活性酸素が発生し、酸化ストレスや炎症反応が生じます。スルフォラファンは体内の抗酸化システムを活性化することで、こうした生体ストレスへの適応をサポートする可能性が示されています。

 近年では、運動による酸化ストレスや筋肉痛の軽減に役立つ可能性も報告されており、スポーツ栄養分野でも注目されている成分です。

参考:The Immunomodulatory Effects of Sulforaphane in Exercise-Induced Inflammation and Oxidative Stress: A Prospective Nutraceutical

 さらに、食物繊維も豊富に含まれているため、高たんぱく質の食事で不足しやすい食物繊維の補給にも役立ちます。

 つまりブロッコリーは、「筋肉の材料になる野菜」というよりも、「肉や魚では不足しやすい栄養素を補い、身体のコンディションを整える野菜」と考える方が適切でしょう。

 

実は枝豆も優秀なスーパーフード

 一方で、見落とされがちなのが枝豆です。

 枝豆は野菜売り場で販売されていますが、実は未成熟な大豆です。そのため、野菜と豆類の両方の特徴を持っています。

 大豆になる過程で失われるビタミンCも含まれており、たんぱく質だけでなくビタミン類も補給できることが特徴です。

 枝豆の最大の魅力は、「野菜でありながら良質なたんぱく質を摂取できること」です。

 100gあたり11.7gのたんぱく質を含み、アミノ酸スコアは100です。アミノ酸スコアとは、体内で利用されるたんぱく質の質を示す指標で、100に近いほど良質なたんぱく質とされています。

 

 さらに枝豆には、

・食物繊維
・カリウム
・葉酸
・ビタミンC
・イソフラボン

 なども含まれています。

 つまり枝豆は、肉や魚のように筋肉の材料となるたんぱく質を補給しながら、野菜に含まれるビタミンやミネラルも同時に摂取できる数少ない食品です。

 また、イソフラボンは抗酸化作用を持つポリフェノールの一種であり、大豆特有の機能性成分として知られています。

 通常の食品として摂取する範囲で男性ホルモンに大きな影響を与えることはないと考えられており、筋トレをしている男性でも過度に心配する必要はありません。

 筋肉づくりという観点では、ブロッコリーがコンディショニングを支える野菜であるのに対し、枝豆は筋肉の材料補給と健康維持を同時にサポートできる食材と言えるでしょう。

 

ブロッコリーと枝豆の違い

 

 ブロッコリーと枝豆は、どちらも栄養価の高い食品ですが、得意分野が異なります。

 2つの食材の主な栄養価を比較してみましょう。

100gあたり(生)の主な栄養価

項目 ブロッコリー(生100g)   枝豆(生100g)
エネルギー 37kcal    125kcal
たんぱく質 5.4g    11.7g
ビタミンC 140mg    27mg
食物繊維 5.1g    5.0g
特徴的成分 スルフォラファン    イソフラボン

参考:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

 

 筋肉の材料という観点では枝豆が優秀です。

 一方で、抗酸化成分やビタミンCによるコンディショニングという観点ではブロッコリーに強みがあります。

 

ブロッコリーと枝豆、どちらを選ぶべき?

 

 結論としては、「どちらが優れているか」ではなく、「役割が違う」と考えるのが正解です。

 筋肉の材料を補給したいなら枝豆、コンディション管理を意識するならブロッコリーが向いています。

 そのため、どちらか一方だけを食べるのではなく、両方を組み合わせることで、それぞれのメリットを活かすことができます。

 

まとめ

・筋肉づくりにはたんぱく質だけでなく野菜も重要

・ブロッコリーはスルフォラファンやビタミンCが豊富でコンディショニングを支える

・枝豆は高たんぱく質でアミノ酸スコア100、筋肉の材料補給に役立つ

・どちらも食物繊維やビタミン、ミネラルを含む優秀な食品

・どちらが優れているかではなく、それぞれ役割が異なる

 

 筋肉づくりでは「たんぱく質を摂ること」に注目されがちですが、身体のコンディションを整える野菜も同じくらい重要です。ブロッコリーと枝豆はそれぞれ異なる強みを持つため、どちらか一方ではなく組み合わせて取り入れることをおすすめします。

 筋トレ愛好家に人気のブロッコリーには確かな理由があります。しかし、筋肉づくりという観点では枝豆も負けず劣らず優秀な食材です。

 「ブロッコリーか枝豆か」ではなく、「ブロッコリーも枝豆も」が、身体づくりへの近道と言えるでしょう。

 

 

PROFILE

申泰鎮(シン・テジン)

管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。

 

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