インタビュー 2021.12.02

管理栄養士・本多京子さんが語る「料理と体と運動の関係」ー料理をするために台所に立つだけで体は鍛えられますー

コンパクトな生活にシフト

 

 60代以降、自分の生活を徐々にコンパクトにしようと努めています。食べ物でも暮らしでも、シニア世代は「量より質」が大事だと思うんです。

 手始めに自宅をリフォームしたのもその一環。もともと3階建ての家全体が住まいと仕事場だったんですが、リフォーム後は1階と2階は人に貸して、私は3階に住んでいます。最上階を住居にしたのは、外出するたびに3階分の階段を登り降りしなきゃいけないから。自然と筋トレになるでしょ。目標は一日12回往復すること。まぁ、もしこの先、体が弱って階段が登れなくなってきたら、下の階の人と部屋を交換してもらって、1フロアずつ降りていこうと計画しています(笑)。将来的に1階に住むことになったら、庭で野菜を育てるのも楽しそうだ、なんて考えたりして。

 そして自分にとって一番大切な料理を中心にすべく、玄関を入るとすぐにキッチンが目に入るよう設計しました。私は毎日料理をするので、一日の半分以上はキッチンに立って何かしら作業をしています。そのときに必ず履いているのが、鼻緒のある草履。“指は第二の脳”とよく言いますが、足の指に力を入れてしっかり動かせる草履は本当にオススメ。

 ちなみに数年前、大腿骨のMRIを撮ったんですが、お医者さんに実年齢マイナス30歳と言われました。特に鍛えたりしてないのになぁ、と少し不思議に思いましたが、台所に立っている時間が長いからだと自分では考えています。座りっぱなしが一番よくないでしょ。料理するために立っているだけで、骨も筋肉も鍛えられるんですよね。

 iPad、草履、それともう一つ、自分の健康維持に欠かせない道具の一つが、実はけん玉。コロナ禍で始めた趣味で、いつも孫と一緒に遊びながらやっています。これが意外と運動になるんです。全部の窪みに玉をうまく入れるには、膝をバネのように使いつつお腹にグッと力を入れて、体幹を整えないと絶対にうまくいかない。人は生きている限りは体を動かさなきゃいけないわけですが、ウォーキングや水泳だと、外出する必要がありますよね。それだと、時間の都合や体調次第ではできないこともあるかもしれないけれど、けん玉なら半畳のスペースで、思い立ったらすぐできます。楽しいですよ。

本多さん愛用のけん玉。お孫さんがイラストを描いてくれたそうです

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