インタビュー 2021.12.02

管理栄養士・本多京子さんが語る「料理と体と運動の関係」ー料理をするために台所に立つだけで体は鍛えられますー

今回のゲストは、医学博士・管理栄養士の本多京子さん。NHK「きょうの料理」をはじめ、長年、テレビや雑誌で栄養の情報やレシピ、ライフスタイルを発信しつつ、野球やマラソンなどのスポーツ選手への栄養指導も行ってきた本多さんに、料理と食の楽しみ方、そして体を動かすことの重要性について伺いました。

PROFILE

本多京子さん◎ほんだ・きょうこ/東京都生まれ。実践女子大学家政学部食物学科卒業。東京医科大学で医学博士号を取得。1983年より日本体育大学では「子供の食と栄養」を35年間担当。1992年からは読売巨人軍の選手の栄養指導やメニュー作成にも携わる。NHK「きょうの料理」など、テレビや雑誌等のメディアで健康と栄養に関するアドバイスやレシピを多数発信。著書は60冊を超える。近著に『シニア世代の食材冷凍術』(講談社)がある。

運動を生活の一部に

 今日は、普段使っているiPadを持ってきました。これで何をしているかというと、You Tubeで映像を観ながら、一緒にヨガをやってるんです。もともと、近所のスポーツジムで週1回、10年以上ヨガを続けてたんですが、コロナ禍で通えなくなってしまって。それでiPadを活用し始めたわけです。ちなみにそのジムには60代になって通い始めたんですが、ヨガ以外に水中ウォーキングやボールエクササイズもやっていました。

 今でこそ、こうして意識的に体を動かすことを習慣化していますが、子どもの頃はインドア派で、運動が大の苦手でした。ボウリングに行ってもガーターばっかりだし、鉄棒の逆上がりも一度もできたことがありません(笑)。というのも、代々、実家が江戸小紋などを扱う染物屋で、私は3人きょうだいの長女。女の子は着物を着ておしとやかに生きるべきだ、と父に躾けられたこともあって、ほとんど外遊びをする機会がなかったんですね。

 そんな私がなぜヨガを始めたのかというと、歳をとって骨や筋肉を健康に保つための運動の必要性を感じたから。長年、プロのスポーツ選手の食事管理や栄養指導の仕事をしてきたこともあり、自分の体の変化にもともと敏感だったのも大きいですね。

 そうそう、実は6歳から10年ほど日本舞踊の京舞を習っていたんです。キレイな姿勢を保ちながら、体幹を使ってゆっくり静かに動く、ということに関しては、ヨガと京舞は共通するものがあり、そこに親しみを感じられたのもヨガが好きな理由の一つかもしれません。

 何より、じっと動かないままいるよりも、運動して少し疲れたあとの芯からの解放感というのは、肉体的にも精神的にも何物にも代えがたいほど気持ちがいいんですよね。運動は習慣化しないと意味がないので、どんなに忙しくても木曜の夜だけは絶対に仕事を入れずにヨガ! というふうに1週間のプログラムに運動を組み込むんです。するとそれがルーティンになるので、逆にやらないと気持ちが悪くなります。

 私はいま一人暮らしですが、運動に限らず、就寝や起床、食事などの時間も、自分の中でルール化しています。でも無理をしてるわけじゃないですよ。大変なのは最初だけで、何でもリズムにしてしまえば、自然とできるようになるものです。夜ふかししたりとか、そのリズムが狂うと、体調が崩れるんですよね。

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