コラム 2021.12.07

運動器ドクターズ Q.時々起きる坐骨神経痛。少し経つとよくなるけど放っておいていい?

 お尻のえくぼ付近から大もも後面にかけて(ひどい場合は足先まで)、なんとなく違和感があったり、しびれがある、痛みを感じる、さらには、腰痛も併発していることもある。こうした症状を「坐骨神経痛」といいます。坐骨神経痛は、あくまでも”症状”のことです。頭痛や腹痛と一緒で、なんらかの疾患があって、その部位に痛みが発症している状態です。そこで、坐骨神経痛を引き起こしている「疾患」を知ることが治療の第一歩となります。

坐骨神経痛が起きる疾患

 まず、坐骨神経痛が起きる直接的な原因は、神経にあります。腰椎(腰の骨)の間から出た神経が骨盤の中を通り、お尻の筋肉から出てくるのですが、それまでの間のどこかに圧迫や締め付けられる”絞扼(”こうやく)などの障害があるために、痛みが発症しているのです。では、こうした状態を引き起こす疾患は何かといいますと…..

 まず圧迫の原因となるのは、「腰椎椎間板ヘルニア」よるものが多く見られます。椎間板(線維輪と髄核からなる)は、背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。とくに椎間板は、加齢などにより変性しやすく、断裂して坐骨神経痛が起きやすくなります。梨状筋というお尻付近にある筋肉によって神経が絞扼されて坐骨神経痛(梨状筋症候群)を引き起こしている例も見られます。

 さらに腰椎椎間板ヘルニアだけでなく、「腰椎分離・すべり症」、「腰部変形性脊椎症」、「腰部脊柱管狭窄症」などの脊椎(背骨)の疾患によって坐骨神経痛が引き起こされている例も多く見られます。

 また、特殊な例ですが、「帯状疱疹」により坐骨神経痛を発症する場合もあります。この場合、発症時は痛みだけなので発疹が出るまでは診断が困難です。

 そのほか、脊髄腫瘍が原因のこともありますし、骨盤内の腫瘍により神経が圧迫されても坐骨神経痛を発症することもあります。

 このように坐骨神経痛となる疾患はたくさんありますが、じつははっきりした疾患がなくても坐骨神経痛を発症することもあるのです。

 ご質問の「ときどき起きる」という場合でもやはり、坐骨神経痛を繰り返しているのでしたら整形外科の診断をおすすめします。とくに1~2週間たっても軽快しない場合や、痛みが激しい場合、腰痛や下肢のしびれ、筋力低下などを伴う場合は必ず、診察を受け、原因となっている疾患を明らかにすることは重要です。

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