インタビュー 2023.03.07

電動車椅子サッカーの現役トップ選手・永岡真理さんに聞く。競技の魅力とは?

指先のコントローラーで電動車椅子を操り、ボールをドリブルし、味方にパスし、時には激しく相手とぶつかり合いながらシュートして得点を狙う電動車椅子サッカー。そのトップ選手として活躍する永岡真理さんに、このスポーツの魅力について伺いました。

電動車椅子サッカーの魅力とは?

 私は1歳4カ月のときから、「SMA(脊髄性筋萎縮症)」という難病を患っています。この病気は、脊髄の中で筋肉を動かすために働く運動神経細胞が変性し、徐々に筋力が低下・萎縮していくもので、10万人に1〜2人がかかると言われています。症状の出方は人によって違いますが、私の場合は、指先と首が少し動かせる程度。生まれて一度も歩いたことはなく、4歳から車椅子生活をしています。ただ、自分では動けないんですけど、幼い頃から外遊びが大好きで、じっとしていられない子でした。

 電動車椅子サッカーと出合ったのは8歳の時。動くのが好きな私に、スポーツを通して少しでも体を動かす機会を増やしてあげたいと、母が横浜ラポールという障害者スポーツ文化センターに連れて行ってくれたんですね。そこで、ボッチャや卓球、ボーリング、車いすテニスなど、いろんなスポーツの教室に参加してみたわけです。その結果、私が一番楽しいと思えたのが、電動車椅子サッカーだったんです。選手間の緻密な連携も大事だけど、一人でドリブルしてゴールを決めることもできる。その自由度の高さに惹かれたのかもしれません。

 電動車椅子サッカーは4対4、男女混合で行います。20分ハーフの前後半制で、主にバスケットコートを使うことが多いですね。電動車椅子に「フットガード」という鉄製のバンパーを装着して戦うのが特徴。選手たちは手元にあるコントローラーを指や顎、足などで操作して車椅子を縦横無尽に走らせ、32.5cmのボールを追います。フットガードを使ってドリブルしたり、ブロックしたりパスしたり……つまりフットガードが足の代わり。最終的に敵陣の幅6mのゴールにシュートが決まれば得点です。

 得意なポジションやプレースタイルは人それぞれですが、やはり自分が乗る電動車椅子の車体感覚と旋回能力などをしっかり理解し、自分の体の一部のように動かせないとボールをうまく扱うことができません。私は作戦に応じて、攻守ともに幅広くプレーしていますが、やっぱり得点を決めるのが一番好きですね。なんと言っても気持ちがいいので(笑)

 ちなみに電動車椅子サッカーの最高時速は10キロ。かなり高速で試合が展開します。ポジショニングやセットプレーが大事なのは普通のサッカーと同じですが、その場で素早く一回転してフットガードを強くボールにインパクトさせてパスやシュートを繰り出すなど、電動車椅子だからこそできるテクニックも数多くあります。

 そのほか、サッカーやフットサルとの違いで言えば、浮き球がないこと。いわば2Dの世界ですね。ただその分、試合展開や攻守交代が早く、敵味方がハイスピードで激しく交錯するシチュエーションも多いので、初めて観た人には「想像以上の迫力でビックリした」なんて感想をもらうことが多いですね。

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