疾患ナビ 2025.05.09

骨を強くして、骨折を防ぎ、健康寿命を延ばしましょう! 愛知医科大学 メディカルセンター 准教授 井上真輔

転倒を防ぐために

低い段差でも転倒するので、こうした段差対策をしておきましょう。

 

 転倒による骨折を防ぐためには、バランスを崩したときに転ばないよう足腰を鍛えることが重要です。また、つまずかないように段差をなくしたり、手すりをつけたりするなど住環境を整えることも重要です。

 

 ウォーキングや軽いジョギング、マシンによる筋力トレーニングなどは、筋力のみならず、反射能力やバランス感覚を改善するのに役立ちます。特に、スクワットやカーフレイズ(爪先立ち)、足の指でタオルをつかむ練習などのエクササイズは、脚や腰の筋肉を鍛え、転倒リスクを減らすことができます。私がお勧めするのは、椅子を使ったスクワットとももあげで、股関節周りの大きな筋肉を安全に鍛える方法です。巻末に、高齢者にも気軽にできる運動を載せているので、ぜひやってみてください。

 

 また転倒を防ぐためには、住環境を整えることも大切です。段差をなくしたり、廊下やトイレに手すりを取り付けたりすることで、安全性を高めることができます。特に3cm程度の小さな段差はつまづきやすいので、できるだけなくすようにしましょう。

 

 滑りやすい浴室や脱衣所には、滑り止めマットを敷くことお勧めします。また、段差が見えにくいと、よりつまづきやすくなるため、照明を明るいものに変えたり、視力のチェックしておくことも大事です。また、屋外での転倒を予防するために、スリッパやサンダルは控えて、適切な大きさの滑りにくい靴を履くようにしましょう。 

骨を強くして、骨折しない健康な身体を作りましょう!

 

 日本における骨粗鬆症の患者さんは、高齢化の進展にともない、1280万人と推定されています。

 

 骨粗鬆症が進行すると、骨折のリスクが高まり、日常生活に支障をきたすだけでなく、命にも関わる大きな問題となります。整形外科で定期的に検査を受け、適切な治療を行うことで、骨粗鬆症の進行を防ぎ、健康な生活を永く維持するようにこころがけましょう!

 

最後に高齢者にもできる運動を紹介しておきます。なお、安全な環境状況で、十分に注意して行なってください。

1:椅子スクワット

①、椅子にやや浅めに腰掛け、テーブルに両手をつけます。脚は肩幅よりやや広めに広げ、足先ははやや外側に向けます。この時、かかとは膝の真下の位置にし、地面にしっかり足裏をつけておきます。
②、①の状態から体を少し前に倒しながらゆっくり椅子から腰を上げていきます。また、ゆっくりでいいので椅子に腰掛けるように①の状態に戻ってください。これを数回、繰り返します。最初は3〜5回程度で十分ですが、できる方は回数を増やしていきましょう。

2:椅子ももあげ

①、椅子に深く座り、両足は腰幅に開いて、足裏を地面にしっかりとつけます。両手は、椅子の座面を下からしっかりと持ちます。
②、①の状態から片足を軸にして、もう一方の片足を太ももから挙げます。これを左右繰り返してください。注意点としては、背筋を伸ばしてお腹に力を入れ、腰は反らないようにしてください。

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