果物はどのくらい食べるのが良いのか?
暑い季節になると、スイカやメロン、桃などのみずみずしい果物を食べる機会が増えます。
「果物は健康に良いからたくさん食べても大丈夫」と考えている人も少なくありませんが、それは本当でしょうか?
管理栄養士・健康運動指導士のTejin(テジン)先生に、果物を食べる際に気をつけておきたいことや運動する人におすすめの果物などについて聞いてみました。
果物に含まれる栄養素
果物は糖質、水分、ビタミン、ミネラル、食物繊維を補給できる優れた食品です。特に多くの果物に共通して含まれる栄養素として、糖質、ビタミンCやカリウム、ポリフェノールが挙げられます。
果物に含まれる糖質は主に果糖やブドウ糖で、体内でエネルギー源として利用されます。運動前後や活動量が多い日のエネルギー補給にも役立つため、アスリートや運動習慣のある人にとっても取り入れやすい食品です。
ビタミンCはコラーゲンの生成に関わり、皮膚や血管、骨などの健康維持に役立つ栄養素です。また、抗酸化作用を持ち、運動や日常生活で発生する活性酸素からからだを守る働きもあります。
カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、体液バランスを整える働きがあります。汗をかく機会が多い夏場や運動習慣のある人にとって重要なミネラルです。
さらに果物には食物繊維やポリフェノールも含まれており、腸内環境を整えたり、健康維持に役立ったりすることが期待されています。一方で、果物ばかりに偏ると、たんぱく質や脂質、カルシウム、鉄など、身体を構成するために必要な栄養素が不足しやすくなります。
果物は健康的な食品ですが、それだけで栄養バランスが整うわけではありません。
果物は1日に200gを目安に。

果物はからだに良い食品ですが、「たくさん食べるほど健康になる」というわけではありません。
まず、果物にもエネルギーがあります。果物の糖質は砂糖より健康的なイメージがありますが、過剰に摂取すればエネルギーの摂り過ぎにつながります。
また、果物に含まれる果糖は一度に大量に摂取すると中性脂肪の合成に利用されやすいことが報告されています。
さらに、果物には水溶性・不溶性食物繊維のほか、果糖なども含まれているため、一度に大量に食べると、お腹の張りや下痢の原因になることもあります。
加えて、果物だけで食事を済ませたり、果物の割合が極端に多くなったりすると、たんぱく質や脂質、カルシウム、鉄など、身体を構成するために必要な栄養素が不足しやすくなります。
果物はビタミンやミネラル、食物繊維などを補給できる優れた食品ですが、あくまでも食事を補完する存在です。適量を守りながら、主食・主菜・副菜をそろえた食事の一部として取り入れることが大切です。
果物の1日の摂取目安
厚生労働省が推進する「健康日本21」(「21世紀における国民健康づくり運動)では、果物の摂取目標量を1日200gとしています。
参考:果物1日200gのすすめ | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト
200gの目安は以下の通りです。
・みかん 2個程度 ・キウイフルーツ 2個程度 ・桃 1個程度
・バナナ 2本程度 ・ぶどう 1房の半分程度 ・スイカ 2切れ程度
果物は1種類に偏るのではなく、さまざまな種類を組み合わせることで、多様な栄養素を摂ることができます。
運動する人におすすめの果物

筋力トレーニングを行う人
ボディビルダーやラグビー、アメリカンフットボールなど、筋肉量の増加や維持を目指す競技では、たんぱく質の摂取量が多くなります。そのような人におすすめなのが、パイナップルとグリーンキウイです。
パイナップルにはブロメライン、グリーンキウイにはアクチニジンというたんぱく質分解酵素が含まれています。これらの酵素は肉や魚などのたんぱく質を分解する働きを持つため、食後の消化をサポートすると考えられています。ただし、缶詰のパイナップルや加工されたジュースは加熱処理によって酵素が失活しているため、この効果を期待する場合は生のパイナップルやグリーンキウイがおすすめです。
持久系スポーツを行う人
マラソンやトライアスロンなどの持久系スポーツでは、長時間の運動によって活性酸素が多く発生します。そこでおすすめなのがゴールデンキウイ、オレンジ、いちごです。
これらの果物にはビタミンCをはじめとする抗酸化成分が豊富に含まれています。
ゴールデンキウイにはグリーンキウイの約2倍ビタミンCが含まれています。参考:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
日頃から取り入れることで、コンディション管理に役立つ可能性があります。
アスリートにバナナが人気な理由
スポーツ現場でよく見かける果物といえばバナナです。
バナナが人気の理由は、エネルギー補給とミネラル補給を同時に行えるからです。
バナナには果糖だけでなく、でんぷんも含まれています。そのためエネルギーが比較的持続しやすく、運動前や運動後の補給に適しています。
また、カリウムやマグネシウムも含まれており、汗で失われるミネラルの補給にも役立ちます。
皮をむくだけで食べられる手軽さも、アスリートに支持される理由の一つです。
まとめ
・果物はビタミンC、カリウム、ポリフェノール、食物繊維などを補給できる
・果物の摂取目安は1日200g程度
・食べ過ぎはエネルギーの過剰摂取や、お腹の張り、下痢の原因になることがある
・果物だけではたんぱく質、脂質、カルシウム、鉄などは不足しやすい
・筋力トレーニングを行う人はパイナップルやグリーンキウイがおすすめ
・持久系スポーツを行う人はゴールデンキウイ、オレンジ、いちごがおすすめ
・バナナは運動前後のエネルギー補給やミネラル補給に適している
・果物は適量を取り入れることで健康や運動をサポートしてくれる食品である
PROFILE
Tejin(テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。今はボクシングジムや大学ラグビー部で増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを行っている。また、競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を提供。執筆や講座出演も多数。