Q&A(ScT資格取得をを目指す方)

学校保健に関わるにはどうしたらよいですか?

まずは、学校のこと、学校保健のことについて、基本知識を学ぶことが大切でしょう。多くの理学療法士が働く、医療機関や介護施設とはまったく違った学校文化があり、その中の教職員らと協働して活動するという心構えが必要でしょう。

「学校保健は、学校における保健教育及び保健管理をいう」(文部科学省設置法)とされ、各教科(体育、保健体育、総合的な学習等)の教育、特別活動(部活動等)、日常での学校生活での指導や個別指導(保健室での課外における保健指導等)の現場での活動が、認定スクールトレーナーの活躍の場と想定されます。特に、学習指導要領にも示されている「けがの防止、病気の予防」や「健康安全の大切さ、自己の健康増進や回復」に関わる指導・教育が、求められる内容と考えられます。

「コミュニティ・スクール」という形の地域学校協働活動の一環に位置付けられる場合には、医療の専門家として、当該学校と良く連携して、学校長やその担当の教員・養護教諭らとよく協議・相談して準備運営するのが良いでしょう。市町村等の教育委員会の地域学校協働課や担当指導主事と相談して進めるのも有効でしょう。また、2023年度の当協会の「スクールトレーナ―モデル事業」の内容一覧を見ていただくと、学校保健との関わり方の参考になると思います。

スクールトレーナー認定資格取得後に相談窓口はありますか?

認定者専用のホームページが設置されています。これは資格取得後付与するアカウントとパスワードで入室できる専用ページです。ここではさまざまな情報を取得できるほか、単位申請、活動報告申請などが行うことができ、また認定者専用の「相談窓口」を設けております。

なお、それらのご質問への対応は、当協会内部に設置されている「認定スクールトレーナー制度委員会」及び「同カリキュラム委員会」・「同試験委員会」・「同資格委員会」のメンバーが対応することになります。また、認定スクールトレーナー資格保有者のネットワークが形成されれば、その組織もこうした相談や質問等への個別的な対応が可能になるように、徐々に発展していく予定です。

認定資格を取得したら指導の依頼は来るのでしょうか?

この資格を取得したら、自動的に全国各地域の教育委員会や学校等から、実践的な指導や講演・講義・個別相談などの依頼が、個々の認定スクールトレーナーに、直接来ることはまれでしょう。まずは、認定者が確定したタイミングで、当協会が、この制度及び認定者についての周知広報活動を当協会参加団体(46団体)・ホームページ、及び全国の各報道メディアや学校・教育・スポーツ関係組織・団体等に対して実施しています。

また、文部科学省の「コミュニティ・スクール及び地域学校協働活動に係る協力団体リスト」(全国都道府県教育委員会連合会・全国市町村教育委員会・全国指定都市教育委員会協議会他、全59団体:添付資料)の中に、2024年3月、当協会の名前はすでに掲載されております。

そうした全国的な調整を進める一方で、各地域での医療機関と学校や教育委員会等との連携・協力関係が着実に広がり、それらの相互の信頼関係が形成されていくことが極めて重要と考えています。

資格取得者と資格がない理学療法士に違いがありますか?

医療国家資格である理学療法士の資格保有者であることには、まったく違いはありません。ただし、公益財団法人日本運動器の健康・日本協会が構築したこの「認定スクールトレ―ナー」の資格を有しているのは、次のような資格の基盤を合わせて保有していることが大きな違いと考えられます。

1)この資格は、当協会が、内閣府公益認定等委員会から「児童生徒の運動器の健康増進と健全な成長・発達に寄与する担い手の育成」という新たな公益目的事業として認定された(2024年2月20日)資格付与事業によるものであること。

2)文部科学省の進める「コミュニティ・スクール」・地域学校協働活動に係る協力団体の一つとして、当協会は承認されており、児童生徒の運動器の健康増進と健全な成長・発達に資する専門家として位置付けられる資格であること。

3)養成講習会で、40単位に及ぶ各専門家からの教育カリキュラム(①学校教育及び学校保健指導の基本的理解:12単位、➁発達段階別心身の健康課題の特徴と理解、➂学校における保健指導の進め方:計28単位)を受講し、かつ認定試験に合格した資格者であること。

4)当協会が、2000年の設立時より、「運動器の健康」世界運動の一環として、国民の運動器の健康増進と健康寿命の延伸のために、常に公益的な事業を展開してきており、日本の将来を担う子どもたちの健全な成長・発達を願って新規事業として構築した資格であること

本業と認定ScTの関係、講師料については?
認定スクールトレーナーの資格取得後の活動に関してですが、理学療法士として本業業務がある中で、学校側に関わる際は個人が本業を休んで出務する形になるのでしょうか? それとも、所属している勤務先に派遣依頼が来るのでしょうか? これらの場合は派遣に伴う講師料などが発生するのでしょうか?

どのような形で学校保健業務にかかわるかで決まりますが、例えばコミュニティ・スクール事業であれば、当該教育委員会または実施校の校長から勤務先への派遣願が提示されると思います。これに対し、所属先が本務でないとの取り扱いになれば、有給休暇を取って対応することになります。

基本は、「学校=当該自治体の教育委員会×所属の医療機関や大学等×運動器の健康・日本協会の三者連携関係」を基盤として、準備・運営を図るのが望ましいでしょう。各ScTと学校(体育教師や養護教諭など教師個人との関係)による個別的な連携のみで委嘱・企画がなされて活動を実施するのではなく、組織としての学校(校長・副校長ら全体との関係)・教育委員会(保健体育担当の指導主事等)、所属先の医師(整形外科医・リハビリテーション医等)とも連携して、必要に応じて運動器の健康・日本協会(ScT担当理事や当該委員会メンバー)にも相談いただいて、円滑な実施計画と体制つくりが重要でしょう。

市立・町立病院等や地域の民間の基幹病院では、「業務の一環」として実施している例もあり、また行政の行う「出前講座」の位置づけで実施しているところもあります(これらの場合、講師料は発生しません)。また、教育委員会の予算で、その謝金規定に従って、講師料が払われた例もあります。

認定ScTの更新については規程がありますか?
有効期間の5年を過ぎると、更新手続きになると思いますが、その際は1万円で更新という形になりますか? その他に更新の条件はあるのでしょうか?

認定資格の有効期限の5年を迎える前に更新手続きを行います。その際は、認定された期間内に別に定める資格条件(教育研修講演の受講、学校保健活動の実践など)が単位(必須単位含む)となり、5年間で25単位を取得する必要があります。それらを具(そな)えたうえで、次の5年間の登録料として1万円を納付していただきます。

資格取得後、病院やクリニックに勤務していなくても認定ScTの活動は可能でしょうか?

認定スクールトレーナー制度は、非営利目的の公益事業として実施します。医療従事者として、この基本的立場で活動するときは、活動ができます。個人で、ScTとして活動する場合でも、「学校=当該自治体の教育委員会×所属の医療機関や大学等×運動器の健康・日本協会」の3者連携体制を基盤として、学校や教育委員会、あるいは当該地域の理学療法士会と協力して、学校や教育委員会との円滑で緊密な連携・協力関係を形成することが望ましいでしょう。

認定ScTの活動現場は?
認定ScTの活動現場は小学校、中学校、高等学校になるのでしょうか? また、体育の授業の一つとして講師として活動することになりますか? 学校へ就職するということになるのでしょうか?

現在活動の対象としているのは小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等です。活動内容は、医師と協力して「チーム学校」や「コミュニティ・スクール」の一員として、学校の求めに応じて、児童生徒等の心身の健全な成長・発達に資するもので、児童生徒、教職員、保護者、学校部活動の外部指導者が対象です。活動は、講演・講話や実技指導を学校部活動の部員、顧問、指導者に行うことです。学校の職員として採用を目指しているわけではありません。

認定ScTは各県で活動を行う?
資格取得後、各県で事業などが行われ、そこでスクールトレーナーの活動を行う予定でしょうか?

都道府県理学療法士会と地域内の大学(医学部・医科大学)、基幹病院など地域内の病院・診療所とも連携し、地方自治体、教育委員会と「コミュニティ・スクール事業」など、「チーム学校」の一員として児童生徒等の運動器の健全な成長と発達に寄与することを目指します。

認定ScTの活動は学校や教育機関から依頼があった場合はボランティアの活動になる?

『認定スクールトレーナー制度』は、非営利に公益目的事業として創設しています。したがって当協会としては交通費や謝金についての取り決めはしていません。コミュニティ・スクール事業や部活動の支援など依頼する主体者の取り決めによる謝金や交通費の支給がある場合はありますが、あくまで派遣を依頼する主体者の取り扱いで決められることになります。