スポーツ管理栄養士・テジンが伝授する食べる戦略:その8「スタミナUPは鉄分がカギ!スポーツ貧血について」
一般競技者からトップアスリートまで、さまざまな選手や一般の方の“食”を指導してきた管理栄養士・健康運動指導士のTejin(テジン)先生による、信頼できる栄養情報を連載でお届けします。
「それ、もしかして鉄不足かも?」
私が栄養指導を行っている大学ラグビー部の選手からは、
「80分フルで出場してもバテない体を作りたい」
「練習も食事も頑張っているのに、後半になると足が止まってしまう」
といったスタミナについての相談をよく受けます。
スタミナ不足……。これはスポーツ選手には非常に多い悩みです。
この原因のひとつとして考えられるのが、ズバリ「スポーツ貧血」です。スポーツ貧血とは、いわゆる体の中のミネラル分である「鉄」が不足することによって起きるスタミナ低下のことです。
スポーツ選手がなぜ貧血になりやすい?
体力あるスポーツ選手。しかし、彼らが鉄分不足による貧血になりやすいのには理由があります。
「鉄」は、酸素を全身に届ける「赤血球中のヘモグロビン」の材料です。
この鉄が不足すると、当然ながら筋肉に十分な酸素が供給されず、持久力が低下。疲労感・集中力の欠如などの症状が現れてきます。
特にスポーツをしている人は、次のような理由により鉄が不足しやすくなります。
・汗によって鉄が流出してしまう(特に夏場は大量の汗をかくので流出しやすい)
・足裏に衝撃がかかることによって起きる赤血球の破壊(溶血性貧血)
・激しい運動によって胃腸にダメージが加わったり、ストレスによって鉄の吸収力の低下
たとえば、ラグビー、陸上競技、サッカー、バスケットボールなど、足に強い衝撃がかかる競技では、「足の裏で赤血球が壊れる=溶血性貧血」のリスクが高まります。
この溶血性貧血は自覚症状がないことが多いと言われています。
「疲れやすい」「頭がぼーっとする」「後半になると力が出ない」といったサインを見逃さないことが非常に大切です。
アスリートの鉄必要量は?
このようにスポーツをする人は鉄分を多く消耗するため、1日の鉄の推奨量は15~18mgとされており、これは成人男性の7.5mg/日の2倍以上にあたります。
(参考:『スポーツ栄養学ハンドブック』、『日本人の食事摂取基準(2025年版)』)