スポーツ管理栄養士・テジンが伝授する食べる戦略:その8「スタミナUPは鉄分がカギ!スポーツ貧血について」

ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
鉄には大きくヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、吸収効率に違いがあります。
・ヘム鉄 吸収率約10〜20%(高吸収) 赤身肉、レバー、マグロ、イワシ、アサリなど
・非ヘム鉄 吸収率約2〜5%(低吸収) ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品など
また、それぞれ含まれている食材にも違いがあります。
・吸収率の高いヘム鉄は赤身肉、レバー、マグロ、イワシ、アサリなど動物性食品が多い
・非ヘム鉄は、ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品などの植物性食品に多い。なお、こちらはビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がります。
たとえば、小松菜や大豆製品は、ピーマンや柑橘類と組み合わせると効果的です。
食事でできる鉄補給の工夫
日常の食事で、次のようなメニューを取り入れるのがおすすめしています。
朝食:「ツナサンド+オレンジジュース」
昼食:「牛丼(赤身肉)+小松菜のナムル」
夕食:「鶏レバー入りそぼろ丼」
さらに、「鉄強化牛乳」を活用するのは、手軽で効果的なので推奨します。
スポーツする人に不足しがちな鉄分とカルシウムを同時に摂取できるため、鉄不足と骨のケアの両方をサポートできます。
なお、「鉄強化牛乳」に含まれる鉄は基本的に非ヘム鉄ですが、毎日の習慣として取り入れやすいのが利点です。
私が指導している大学ラグビー部ではスポーツ貧血の予防のため、3食で鉄分が含まれたものを意識的に摂るようにして、部の補食でも全員に鉄強化牛乳を毎日提供しています。
また、鉄の吸収を妨げるタンニン(緑茶・コーヒーなど)は、食後1時間ほど空けて摂取するのが理想的です。
まとめ
・スタミナ切れや集中力の低下は、鉄不足=スポーツ貧血のサインかも
・汗や足裏の衝撃で、アスリートは鉄が失われやすい
・吸収率の高いヘム鉄+ビタミンCの組み合わせがカギ
・鉄強化牛乳や補食も上手に活用を
鉄の摂取は、後半まで走り切る“隠れた武器”です。不足がないようにしっかり補い、試合終盤まで動ける身体を整えていきましょう。
PROFILE
Tejin(テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。今はボクシングジムや大学ラグビー部で増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを行っている。また、競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を提供。執筆や講座出演も多数。