コラム 2020.09.08

「笑い」で「痛み」をマネージメントしよう!

「笑い」が心や体によいということを聞いたことがありますか。「笑い」は健康によいということが医学的にも言われています。「笑い」で嫌な、不快な「痛み」をご一緒にマネージメントしてみませんか?

「笑い」で免疫力アップ!

「笑い」にはいろいろなよい効果があると言われています。ある報告では、漫才などで笑った後、NK細胞というがん細胞やウィルスを退治してくれる細胞の活性が増えたとのことでした。つまり、「笑い」がNK細胞を活性化させ、結果として体の免疫力がアップします。まさに、「笑う門には福来る」ですね。また、笑うとエンドルフィンという内因性オピオイドが分泌します。これは、鎮痛作用や幸福感をもたらし、痛みを軽減してくれます。笑うことで、自分自身で痛みを抑える物質であるエンドルフィンを作ることが出来るなんて素敵ですね。

「笑い」で筋力アップ!

 大笑いしたときにお腹が痛くなる経験をしたことがありませんか。また、心臓がバクバクしたりしたことはないでしょうか。笑うときは、心臓ががんばり、呼吸も活発となります。内臓が運動している状態で、カロリーも消費します。そのうえ、顔面の表情筋、肋間筋、横隔膜、腹筋がフル活動し、筋力がアップします。腰痛を訴えるひとの筋肉量を測ると腹筋や背筋などの体幹筋が少なめになっています。お笑い番組や、喜劇などをみながら筋力アップし、「痛み」が軽くなったらうれしいですね。

「笑い」探しの旅へ。

お笑い芸人さんは、毎日笑いのネタを探していますね。まさに、毎日エンドルフィンでいっぱいの生活をされているかもしれません。では、痛いひとはどうでしょうか。毎日、「痛い」、「痛い」と考えると、余計に「痛い」という情報が脳から全身へ伝えようとし、「痛み」が広がったり、強くなってしまいます。つまり、「痛みの悪循環」が起こってしまい、痛みが長引いてしまいます。逆に、「痛み」に集中しないことが、痛みを少なくさせることがわかっています。そこで、「笑い」探しの旅へ出かけませんか。「笑い」のネタになることはないか考えて過ごしてみてはいかがでしょうか。そうすることで、「痛み」からの不安からも解消され、「痛みの良い循環」が回り、明るく、前向きになることが出来るかもしれませんね。

「笑顔作り」でもOK!

もちろん、心から笑うことがよいですよね。しかし、痛くて笑えないこともあります。安心してください。つくり笑顔でもNK細胞が活性化することが言われています。いつも笑顔でが、知らず知らずに免疫力をアップし、その上鎮痛効果があるなら一石二鳥ですね。「笑いヨガ」という健康法を聞いたことがありますか。私も笑いながらヨガをするのかなと思っていました。そうではなく、“笑いの体操”と“ヨガの呼吸法”とを合わせた健康法のこと。ヨガで行う腹式呼吸を取り入れているので、名前に“ヨガ”と入っているとのこと。ユーモアやジョークなどは使わず、理由なく笑うことで、身体的・心理的効果があるとのことです。笑顔つくりをしながら、ストレッチ、ウォーキング、家事などをし、「笑い」で元気になりませんか。

文・鉄永 倫子(てつなが ともこ)/岡山大学病院 運動器疼痛センター副センター長(整形外科)

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