インタビュー 2022.12.09

LiLiCo「挫折にも骨折にも負けない! 自分の感性と対話しながら”幸せ”を増やす方法」

転倒して膝の皿が割れた!

 私、50歳になったらミュージカルに挑戦したい、とずっと言い続けていたんですが、本当に50歳でオファーをいただけたんです。もう「キターーー!!」って感じですよ。それで、舞台で声が潰れないように、2020年8月にステロイドホルモンを注射する声帯手術を受けたんです。お医者さんからは「術後しばらくは絶対に声を出しちゃダメ」とキツく言われていたので、主人とは小さなホワイトボードを使って筆談で会話してました。

 その2日後のこと、家のすぐ前の路上で転倒してしまい、膝蓋骨、いわゆる膝の皿を骨折してしまったんです。

  なぜこうなったかと言うと、大雨の夜に主人が食べたがったパンケーキを作るために、卵を買いに表に出たんですね。外はザーザー降りですよ。そしたら家を出てすぐの濡れた石畳でツルッと滑って、正座に近い状態で左膝をついちゃった。運の悪いことに、そこに小石が転がっていて、それに激突。膝の皿がパッカーンと上下に割れてしまったんです。もう痛いなんてもんじゃないですよ。全身がしびれて動けなくなりました。「あ、これ寝たきりになるかも」と瞬間的に思いましたね。でも脳は動いているから、「映画の連載は続けられそうだな」なんて一瞬のうちに考えるあたりが私らしいんですけど(笑)。

  とにかく、あまりの激痛に叫びたいのに、声帯手術の影響で声が出ない。とはいえ一人では動けない状態なので、なんとか助けを呼ばなくちゃいけない。仕方がないから持っていた傘を地面にガンガン打ち付けて音を出して。たまたま気づいてくれた通行人の女性が救急車を呼んでくれたんです。

  でも救急隊員の人たちに名前を聞かれても声が出ないうえ、すっぴんだったのでLiLiCoだとわかってもらえず(笑)。仕方がないからスマホの待ち受けにしていた主人とのツーショット写真を見せたら「これ誰ですか?」なんて言われて、心のなかで「私、どんだけ売れてねーんだよ!」とツッコんじゃいました(笑)。そうこうしてるうちに、幸いなことに近所の顔なじみの人が駆けつけて説明してくれてようやくわかってもらえて。すぐに担架に乗せられて病院で緊急手術ですよ。

 もうケガから2年経とうとしていますが、膝はいまだに痛いですね。膝が割れてから、楽しくできることが60%くらい減ったイメージ。なんせこれまで挑戦してきたマラソンやプロレスもできなくなったし、結局ミュージカルのオーディションもこのケガが原因で落ちましたし。

  悔しさは当然ありますが、起きたことを嘆いていてもしょうがありませんから、今はリハビリに邁進していますよ。診てくれているのは、以前、私がプロレスに挑戦したときのトレーナーさん。最初に言われたのは「一番やっちゃいけない部分をやっちゃったね。これは単なるケガじゃなくて“大ケガ”だから、ある意味、一生付き合っていかなきゃいけないよ」ということ。

  もちろん、私だってこのケガに負けるつもりはないんで、絶対にまた復活してミュージカルにも再挑戦するつもり。まずその前に、年末までには、せめて階段は普通に上がれるようになりたいですね。たまに駅の階段をそろそろ上っていると、後ろに行列ができてたりするので(笑)。

幸せは自分の中にある

  話は変わりますが、仕事で悩み相談に答えたりすることも多いんですが、コロナ禍が長く続いたこともあってか、最近とくに気分的に落ち込んでる人が増えている印象があります。そんな時に私がいつも言うのが、「ハッピーは飛んできません。自分の中にあります」という言葉。

  例えば、毎日出勤のために駅まで歩くにしても、あえて必ず違う道を歩くとか、自分で変化をつけていくんです。すると路地裏に新しいパン屋さんができているかもしれません。その時、自分の感性を信じて一個買って食べてみる。そしたら「メディアで絶賛されているほどじゃないな」と思うかもしれないし、美味しければ「差し入れに使えるぞ」なんて喜べるかもしれない。検索して口コミを見るんじゃなくて、何でも自分で判断するんです。ファッションやインテリアだって、自分が本当に良いと思えるものにこだわったほうがいい。「いつも家ではラクだから同じものを着てます」なんて言う人多いですが、気分がアガるはずないじゃないですか?

  つまり、いくら待ってたって幸せは飛んでこない。すでに幸せは自分のなかにあるってことです。だから他人の評価に左右されるんじゃなくて、常に自分と対話しながら自らの感性に敏感でいること。そうして日々の生活の中に、新しい発見を増やしていく―。これが自分をハッピーにしてあげられる、ちょっとしたコツなのかな、と思います。

(取材・文◎田代智久 撮影◎西﨑進也)

●LiLiCo プロフィール

1970年スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、1989年から芸能活動スタート。2001年からTBS系「王様のブランチ」に映画コメンテーターとして出演。J-WAVE「ALL GOODFRIDAY」など出演番組も多数。歌手や声優、俳優して活躍するほか、ジュエリーのデザイン・プロデュースも手掛ける

1 2 3

この記事をSHAREする

RELATED ARTICLE