スポーツ管理栄養士・テジンが伝授する食べる戦略:その6「骨のために知っておきたい!カルシウムの吸収率と、バランス栄養のコツ」
一般競技者からトップアスリートまで、さまざまな選手や一般の方の“食”を指導してきた管理栄養士・健康運動指導士のTejin(テジン)先生による、信頼できる食の情報を連載でお届けします。
骨を健康にする栄養素と言えば「カルシウム」が真っ先に思い浮かびますよね。でも、日本人の多くがカルシウム不足と言われているんです。また、食事の栄養バランスによって、カルシウムだけではなく、骨の強さは大きく左右されてしまうんです。
そこで今回は、骨を守る食生活について、そのコツをわかりやすくご紹介しましょう。
日本人は慢性的にカルシウム不足
前述したように、日本人はカルシウム不足と言われ得ています。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば、1日のカルシウム推奨量は以下の通りです。
年代・性別 推奨量(mg/日)
成人男性(30〜64歳) 750 mg
成人女性(30〜64歳) 650 mg
しかし、日本人の平均摂取量(20歳以上男女)は482mg程度とされ、なんと、毎日250mg前後も不足しているのが現実なのです(令和5年国民健康・栄養調査)。つまり、誰もが意識してカルシウムを摂るべき。なのですが、カルシウムについてもう少し知識を持っておく必要があります。
同じカルシウム量でも吸収率は大違い!
実は、食品によってカルシウムの「吸収率」は大きく異なります。例えば、カルシムを多く含む食品の代表的な牛乳は、約40%を吸収できます。え、半分以下?と思うかもしれませんが、実は、これ、他のカルシウムが多いと言われる食品の中でも高い吸収率なんです。ちなみに、他と比べてみると、こんな感じです。
食品 吸収率(目安)
牛乳・乳製品 約40%(高吸収)
魚(ししゃも・いわし等) 約33%
野菜(小松菜・ブロッコリー等) 約19%
このように同じ量のカルシウムを摂ったとしても、吸収率によって実際に骨に届く量は変わってくるのです。
なぜ牛乳はカルシウム吸収に優れているの?
前述したように、牛乳や乳製品はカルシウムの吸収効率が非常に高い食品です。
その理由は主に2つあります。
・ガゼインホスホペプチド(CPP)という成分が、カルシウムの吸収を助ける
・脂質やたんぱく質の効果も加わり、骨への取り込みがスムーズになっている
そのため、骨の健康を考えると「効率よく吸収できる牛乳・ヨーグルト・チーズ」が優秀な選択肢なのです。