コラム 2025.08.26

スポーツ管理栄養士・テジンが伝授する食べる戦略:その6「骨のために知っておきたい!カルシウムの吸収率と、バランス栄養のコツ」

牛乳が苦手な人はどうすればいい?

 骨のために積極的に牛乳を摂りたいところですが、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする方(乳糖不耐症)も少なくありません。

 そんな方には、以下のような食品がおすすめです。

・乳糖が少ないヨーグルト・チーズ(特にヨーグルトは乳糖が分解されているため比較的安心)

・小魚(ししゃも・いわし・しらす)

・海藻類(わかめ・ひじき)

・大豆製品(豆腐・納豆・厚揚げなど)

・緑黄色野菜(小松菜・ブロッコリー)

・ナッツ類(アーモンド・くるみ)

 牛乳以外にも多様な食材でカルシウムを補うことが十分可能なのです。

減量やダイエット中で脂質を控えたい場合はどうすればいい?

 減量中やダイエット中という方も、本来は牛乳や乳製品を摂って欲しいのですが、気になるのはやはりカロリー。そういう場合は、「低脂肪牛乳」を活用しましょう。

 低脂肪牛乳のカルシウム含有量は130mg(100gあたり)で、普通の牛乳は110mg(100gあたり)と低脂肪牛乳の方がやや多めにカルシウムを補給できるんです。

参考:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

骨を強くするのはカルシウムだけじゃない!

 カルシウムは骨の健康にとって非常に重要ですが、実は「カルシウムだけ」では不十分です。まず、全体的にエネルギー不足になっては元も子もありません。毎日しっかりと食事からカロリーを摂ることは重要です。さらに、骨の健康を保つには以下の栄養素も欠かせません。

マグネシウム       骨をしなやかに強く保ち、骨の新陳代謝を助ける

ビタミンD          カルシウムの吸収・骨への取り込み促進(魚・日光)

ビタミンK           骨にカルシウムを定着させる(納豆・緑黄色野菜)

たんぱく質          骨の構造をつくる「コラーゲン」の材料

このように、「エネルギー+カルシウム・マグネシウム+ビタミン・ミネラル+たんぱく質」の総合バランスが骨づくりの基本です。

逆にカルシウムの吸収を妨げるものは?

 積極的にカルシウムを摂取するだけでなく、反対にカルシウムの吸収を妨げる要因も知っておきましょう。

 特に次のような食習慣はカルシウムの吸収を阻害したり、骨からカルシウムを奪う原因になります。

1、加工食品・スナック・炭酸飲料の過剰摂取(リンの過剰摂取):   カルシウムの吸収を阻害・排泄促進

2、コーヒー・エナジードリンクの過剰摂取(カフェイン過剰):   尿中カルシウム排泄を増やす

3、たんぱく質過剰摂取  : 過剰な高たんぱく質食はカルシウム排泄を増やす(適量はOK)

4、アルコール過剰摂取:   ビタミンD代謝を妨げ、骨代謝悪化

 

毎日の“ちょい足し骨活習慣”で未来の骨貯金を!

 最後に、骨を健康にする食生活に簡単なコツをお伝えしておきます。

①朝食に牛乳かヨーグルトをプラス

②おやつは小魚アーモンド・チーズで良質なタンパク質・脂質・ミネラル補給

③夕食には小松菜・ししゃも・豆腐を意識的に

④日にあまり当たらない場合はまず15分の日光浴でビタミンDチャージ

⑤たんぱく質もしっかり(1日3食)

 まとめ

・日本人はカルシウムが250mg以上不足しがち

・牛乳・乳製品は吸収効率◎ ガゼインホスホペプチド(CPP)が効果的

・牛乳が苦手な方はヨーグルト・小魚・海藻・大豆製品でOK!

・カルシウム+エネルギー・ビタミンD/K・マグネシウム・たんぱく質の総合バランスが骨のカギ

・リン・カフェイン・加工食品の摂りすぎには注意

今日のコップ1杯の牛乳、またはちょい足しカルシウム習慣が、ケガのリスクを減らし、将来の健康な骨を守ります!

PROFILE

Tejin(テジン)

管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。今はボクシングジムや大学ラグビー部で増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを行っている。また、競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を提供。執筆や講座出演も多数。

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