コラム 2019.03.13

サッカーならどんな障害も乗り越えられる! 「アンプティサッカー」の魅力

「アンプティサッカー」をご存じでしょうか? まだよく知らないという人も多いかもしれませんが、世界でも、また日本でも、急速に認知度が高まってきている競技です。そこで、昨年、12月に当協会の会員として加入した日本アンプティサッカー協会の理事長・武田信平さんにその魅力を教えていただきました。

  アンプティサッカー(amputee soccer)とは、病気や事故により上肢又は下肢の切断障害のある人々により行われるサッカーです。フィールドプレーヤーは下肢切断者が、ゴールキーパーは上肢切断者が務めます。日本でのアンプティサッカーを統括する日本アンプティサッカー協会(JAFA)は、世界アンプティサッカー連盟(WAFF)に所属しており、「サッカーならどんな障害も超えられる」を合言葉に活動をしている日本障がい者サッカー連盟の一員でもあります。

  この競技は、1980年代にアメリカ人の切断障がい者であるドン・ベネット氏が発案し、ベトナム戦争の負傷兵のリハビリの一環として採用されました。障がい者スポーツに必要とされる専用器具を必要とせず、日常生活やリハビリ医療目的で使用しているクラッチ(主にロフストランドクラッチ)で体を支えて競技を行います。このため、足に障がいがある人々にとっては最も気楽に楽しめるスポーツとして普及し、現在では30ヶ国以上がWAFFに加盟し活動しています。

  試合は少年サッカーとほぼ同じ大きさのピッチを使い、7人制で50分間(25分ハーフ)行われます。ルールはサッカーとほぼ同じですが、クラッチで故意にボールに触れるとハンドとなること、オフサイドが無いことやスローインではなくキックインであること、ゴールキーパーはペナルティエリアから出てプレーが出来ない等アンプティサッカー特有のルールが存在しますが、スピード感や接触プレーの激しさなど非常にダイナミックな競技であり、見るスポーツとしても十分に楽しむことができます。

  2008年に初めて日本に紹介され、翌年には日本最初のクラブチームが設立され、同時に日本協会も設立されました。2011年より日本アンプティサッカー選手権大会が川崎市内にて開催され、2013年からはレオピン杯Copa Amputeeが大阪市にて開催されています。アンプティサッカーワールドカップへは2010年アルゼンチン大会に初参加し、2012年ロシア大会、2014年メキシコ大会、2018年メキシコ大会と4大会連続で出場し、2014年メキシコ大会で初めて決勝トーナメントに進出、2018年メキシコ大会では、過去最高の世界10位の成績を収めました。ワールドカップ以外の国際大会では、2017年にポーランド ワルシャワ市で開催された「AMP FUTBOL CUP 2017」(第六回 国際 アンプティサッカー トーナメント)に参加し、3位の成績を収めました。この大会では3位ながら日本チームの萱島比呂選手が最優秀選手に選ばれるという快挙を達成しました。

 選手は、脚や腕を失った当初は、失望と不安に塞ぎ込み大変落ち込んだと言います。しかし、アンプティサッカーの存在を知り、飛び込んでみると、始めは蹴ることすら覚束なかったものの練習を重ねることによって上達し、ボールを蹴る楽しさ、フィールドを駆け回る爽快感、技術が向上していく達成感が気持ちを前向きにし、人生を明るくしてくれたと話します。これがスポーツの素晴らしさだと思います。

  日本におけるアンプティサッカーの普及は、9チーム100名程度であり、まだまだマイナースポーツの域を脱することができていません。多くのプレーヤーはサッカー未経験者ですが、努力によって日本代表に入る選手もいます。また、チームとしても少しずつですが世界で通用するようになってきています。切断障がい者の皆さんには、このように発展性があって、楽しいスポーツがあることを知ってもらい、是非トライしてもらいたいと思っています。多くの人に参加してもらうことによってアンプティサッカーを益々盛んにし、パラリンピックの種目に選ばれることがアンプティサッカー関係者の夢です。アンプティの素晴らしさを文字で伝えるのは至難の業です。是非とも動画を見てその素晴らしさを実感して頂きたいと思います。https://youtu.be/x8q-EI5P3PQをご覧ください。

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