コラム 2019.05.15

三日坊主な中高年のためのダイエットエクササイズ【STEP1】 「歩行と階段で下半身を鍛えよう」

若い頃はスマートだった。顔もシュッとしていた、お腹周りにこんなに肉はついてなかった―。

 

中高年になると多くの人が、昔の写真を見てそう思うのではないでしょうか。

 

長年の暴飲暴食、運動不足、ストレス、加齢による代謝の低下など、理由はいろいろありますが、40代前後からお腹や腰に脂肪がたっぷりとついてきて、体重も増え、体脂肪率もびっくりするくらい高くなってしまった。

 

そこで多くの人は、「やばい、メシの量を減らそう」と“にわかダイエット”で糖質制限を始めたり、「運動しなくちゃ」と、急にジムに入ったり、ランニングを始めてみたりするのではないでしょうか。

 

しかし、なんとなく続かず失敗を繰り返す人もいます。そんな三日坊主な中高年のために、失敗しない方法を、パーソナルトレーナーの宮本健太郎先生に聞きました。

 

失敗しない食と運動の方法

 

「ダイエットや運動が続かない、リバウンドを繰り返すというのは、無計画に初めてしまった人に多いパターンなんです」という宮本健太郎さん。

 

「人の体は、食事と活動(運動)によってできています。この2つを健康的な習慣に基づき、正しく、賢く、効率的にやることが大事です。そのためには、正しい知識を持って階段を1段ずつ上がっていくように計画的にやることが、じつは成功の道であり、近道でもあるんですよ」(宮本さん、以下同)

 

では、何から始めるのがいいでしょうか。

 

「まずは、食事を見直します。朝、昼、晩、3食をなるべく決まった時間に食べ、その食事内容に、肉、魚、卵、牛乳といった動物性タンパク質の食材を必ず1つは食べるようにします。そして腹八分でやめることです」

 

「タンパク質」は、筋肉をはじめ、骨、皮膚、髪の毛、歯、脳、さらに神経伝達物質やホルモン、血液など、全身の細胞を作る主成分です。

 体内の「タンパク質」が不足すると、全身の細胞は材料不足になり、日々行われる代謝(細胞再生)が正常に行われなくなってしまい「痩せにくい体」になっていくのです。さらに言えば、細胞が劣化するので「老化や病気」の原因にもなっているんです。

 

続いて運動は何をしたらいいのでしょう?

 

「最初は下半身の筋力をつけるために、ウォーキングです。中高年のサラリーマン世代(40~60歳)で1日平均1万歩以上の歩くのが理想です」

 

●年代別の目標歩数

40~59歳 10000歩

60~64歳 8000歩

65~74歳 7000歩

75歳以上 5000歩

 

 

「さらに、膝に痛みがない人の場合は“階段の昇り降り”を加えてください。エレベーターやエスカレーターを使用せず、階段を使ってください」

 

これまで運動をしていなかった人にとって、最初に始める運動にはウォーキングと階段昇降がもっとも有効な理由とは?

 

「中高年が太った理由の大きな要因の1つは “足やお尻といった下半身の筋力が弱くなったことが挙げられるからなんです。

 

人間の筋肉量というのは、意識的に運動をしないと、20歳前後をピークに1年で1%ずつ減っていきます。とくに下半身の筋肉量の減り方は上半身に比べて顕著で、運動習慣がない人であれば、50歳前後で20歳頃の20~30%程度、下半身の筋肉量が減ってしまっているんです。

 

人間の筋肉量は、下半身に約7割が集中しています。筋肉は脂肪をエネルギーとして消費してくれるので、ここの筋肉量が減ることは、すなわち、体重増加、お腹周りの脂肪の増加、いわゆるメタボ化がすすむということを意味するのです」

 

とくに、オフィスワーカーの人は、1日中、パソコンの前に座っていたり、家に帰ってもゴロゴロして、1日10時間以上、座っているなんてこともザラ。週に1度はジムで筋トレやランニングマシンで走っているという人もいますが、それ以外の時間を座りっぱなしではほとんど効果がないとも。

 

「毎日、ウォーキングと階段の昇り降りを取り入れるだけでも、じつは体はかなり引き締まります。しかも下半身の筋力が付くので、次の運動のステップへとつなげていくことができますよ」

 

そこで次回は、第2ステップの食と運動の方法をご紹介します。

 

  • プロフィール

宮本健太郎(みやもと・けんたろう)

 

『エベレストフィットネス』代表。日本体育大学卒 第一種高等学校教諭(保健体育)。全米ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。NSCA認定パーソナルトレーナー。大学生時代よりプロボクシングでの競技生活をスタート。競技引退後は某有名ボクシングジムのチーフトレーナーとして後進の育成に従事し、2011年から2018年3月までこの職を勤めトレーナーとしてのスキルを磨く。今季夏より独立し、ボクシング&フィットネスのジム『エベレストフィットネス東高円寺』を経営。
https://everest-fitness.jp

 

この記事をSHAREする

RELATED ARTICLE