インタビュー 2021.04.23

星出彰彦さんで今、宇宙が話題! 宇宙飛行士・山崎直子さんに聞いた宇宙の体験と運動器の重要性とは?【1/3】

4月23日、星出彰彦さんが宇宙船「クルードラゴン」で飛び立ち、宇宙への関心が高まる中、運動器の日本協会は、日本人女性として史上二番目の宇宙飛行士となった山崎直子さんの貴重なインタビューが実現! 山崎さんといえば、2010年にスペースシャトルに搭乗し、国際宇宙ステーションに滞在した際の勇姿をご記憶の方も多いはず。今回は、その山崎直子さんに、宇宙飛行士と運動器についてをお話を伺いました。全3回に渡り、そのインタビューを丸ごとご紹介します!

宇宙飛行士になるまで

 千葉県松戸市に生まれ、幼少期は北海道で過ごしました。星空を眺めるのが好きな子どもで、それがきっかけで、宇宙に興味を持つようになりました。

 大学と大学院を卒業後、筑波宇宙センターで技術職として働きつつ、宇宙飛行士の候補者に応募。11年間の訓練期間を経て、2010年にスペースシャトルに搭乗し、国際宇宙ステーションに15日間、滞在しました。

   現在は、内閣府の宇宙政策委員会の委員として、政策面から宇宙に関わったり、日本宇宙少年団のアドバイザーとして、次世代の教育活動などに携わっています。

   幼い頃は、家族と出かけても、すぐに抱っこをせがむ、歩くのが嫌いな子だったんですが、小学校に入ると、逆に活発になって。近所の公園でかけっこやかくれんぼをしたり、虫採りなどをして遊んでいました。

©NASA                                                                                 山崎直子/1970年千葉県生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。同大学院航空宇宙工学専攻修士課程を修了後、宇宙開発事業団(現JAXA)に勤務。99年に国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士候補に選ばれる。10年4月から15日間の宇宙飛行を行う。現在、宇宙政策委員会委員

 中学時代は、英語のクラブに入って、劇なんかもしていました。アメリカ人の子と文通もしていて、海外への憧れは強かったですね。高校では硬式テニスの部活をしながら、ジャズダンスのクラブにも所属していました。

 こうした経験が、後で考えてみると、実は宇宙にもつながっていたな、と思いますね。例えば文通は、世界各国のクルーと仕事をするコミュニケーション能力を養っていたと言えますし、テニスやダンスも地道で泥くさい訓練が必要で、すぐに試合に出られるわけじゃない。宇宙飛行士と同じなんですよね。

宇宙での生活はステイホーム状態と似ている

 加齢により筋力や筋量が萎縮する「サルコペニア」が、いま運動器の能力低下の原因の一つとして懸念されています。宇宙はその対策のための実験場としても注目されていて、骨や筋肉を強くする方法の応用が期待されているそうです。

 ちなみに、骨や筋力の低下を防ぐため、宇宙では毎日2時間の運動が義務付けられています。スペースシャトルの場合だと、トレッドミルや筋トレ用のマシンがあって、これらでトレーニングできる環境が整ってから、宇宙飛行士の骨や筋力の衰えが、以前よりある程度は低減できるようになりました。

 世界的なコロナ禍に際し、NASAも声明を出していて、歩いたり立ったり座ったりを日常生活で繰り返すこと。重力を利用することの重要性を説いています。出勤や退勤がなくなっても、適度に体を動かすことが大事です。

(取材・文◎田代智久)

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