夏に最適、冷やご飯、冷やしたじゃがいものススメ。ダイエットの新常識「ハイレジ食」の効果を知っておこう!
一般競技者からトップアスリートまで、さまざまな選手や一般の方の“食”を指導してきた管理栄養士・健康運動指導士のTejin(テジン)先生による、信頼できる栄養情報を連載でお届けします。
暑い夏になると、冷やしそうめんや冷やし中華、冷やご飯など、冷たい食事を選ぶ機会が増えます。実は近年、「冷ましたご飯の方がダイエットに役立つ可能性がある」と注目されていることをご存じでしょうか。
その理由は、「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」という成分にあります。
最近では、このレジスタントスターチを意識して取り入れる食事法を「ハイレジ食」と呼び、ダイエットや健康管理への活用が注目されています。
今回は、レジスタントスターチの働きや、夏でも無理なく続けられるハイレジ食の取り入れ方について解説します。
レジスタントスターチとは?
レジスタントスターチとは、「消化されにくいでんぷん」のことです。
通常のでんぷんは小腸で消化・吸収されてエネルギーになりますが、レジスタントスターチは小腸で消化されにくく、大腸まで届く特徴があります。
そのため、「でんぷん」と「食物繊維」の両方の性質を持つ成分とも言われています。
特に、ご飯やじゃがいもなどを一度加熱してから冷ますことで、でんぷんが再結晶化(老化)し、レジスタントスターチが増えることが知られています。
レジスタントスターチの効果

レジスタントスターチには、さまざまな健康効果が期待されています。
まず、消化吸収がゆっくりなるため、食後血糖値の上昇が緩やかになる可能性があります。また、消化されずに大腸へ届くため、腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸(※1)の産生を促すことも報告されています。
さらに、腹持ちが良くなりやすく、満腹感が持続しやすいことから、食べ過ぎの予防にも役立つ可能性があります。ただし、「レジスタントスターチを食べれば痩せる」というわけではありません。
ダイエットの基本は、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスです。
レジスタントスターチは、健康的な食生活をサポートする一つの工夫として取り入れることが大切です。
※1 短鎖脂肪酸の体への良い働き
1:お腹の調子を整える:腸の中を酸性に保つことで悪い菌を減らし、便秘の改善に役立つ。
2:体のバリア機能を高める:腸の粘膜を強くして、ウイルスや病原菌から体を守る。
3:太りにくい体をつくる:脂肪が体にたまらないよう抑えたり、代謝を上げるのを助ける。
ハイレジ食の取り入れ方
レジスタントスターチを効率よく増やすには、調理方法だけでなく食品選びも大切です。
レジスタントスターチは、一度加熱して糊化したでんぷんを冷やすことで、でんぷんが再結晶化(老化)し、増加します。そのため、炊きたてのご飯よりも冷ましたご飯や、加熱後に冷やしたじゃがいもを使った冷製スープ、ヨーグルトを使ったポテトサラダなどは、レジスタントスターチを取り入れやすい食品です。
家庭では、炊いたご飯や加熱したじゃがいもを冷蔵庫で一晩冷やす方法が取り入れやすいでしょう。
炊いた白米を4℃で24時間冷却した研究では、レジスタントスターチが増加し、再加熱後も炊きたてのご飯より食後血糖値の上昇が抑えられました。また、一度増えたレジスタントスターチは、軽く温め直してもすべてが失われるわけではありません。冷やご飯が苦手な人は、人肌程度に温めて食べても良いでしょう。

食品選びもポイント
「冷やせば何でもレジスタントスターチが増える」というわけではありません。
レジスタントスターチは、アミロースというでんぷんの割合が多いほど形成されやすいことが知られています。
そのため、ご飯やじゃがいもは冷ますことでレジスタントスターチが増えやすい食品です。
一方、そうめんやうどんなどの小麦麺にも、レジスタントスターチは含まれています。調理後の炊飯米と小麦麺を比較した研究では、炊飯米の方がレジスタントスターチの含有量が多いと報告されています。ただし、食品による違いには、でんぷんの構造や加工方法など複数の要因が関係します。
そのため、ハイレジ食を取り入れるなら、冷や飯や冷やしたじゃがいもを中心に冷製パスタや冷やし麺なども組み合わせるとよいでしょう。
夏だからこそ気を付けたいポイント

夏は冷たい食べ物ばかり選びがちですが、それでは胃腸が冷え、消化機能が低下しやすくなることもあります。そのため、ハイレジ食を取り入れる場合でも、
・冷やご飯 ・ヨーグルトを使ったポテトサラダ などの料理に加えて、
・具沢山みそ汁 ・野菜スープ ・豚汁 など温かい料理を組み合わせることがおすすめです。
野菜やたんぱく質、水分も一緒に補給できるため、栄養バランスも整えやすくなります。
おすすめの取り入れ方
朝食
前日に炊いて冷蔵保存したご飯でおにぎり+具沢山みそ汁
昼食
冷やご飯を使ったライスサラダ+スープ
夕食
ヨーグルトを使ったポテトサラダ+焼き魚+温かい汁物
このように普段の食事を少し工夫するだけでも、無理なくハイレジ食を取り入れることができます。
まとめ
・レジスタントスターチは消化されにくい「難消化性でんぷん」
・冷やご飯や冷やしたじゃがいもで増えやすい
・食後血糖値の上昇を穏やかにし、腹持ちを良くする可能性がある
・ダイエットはレジスタントスターチだけでなく総エネルギー管理が基本
・夏は冷たい主食だけでなく、温かい汁物も組み合わせることがおすすめ
「冷たいから食べる」ではなく、「身体にうれしい食べ方を選ぶ」という視点を持つことで、夏の食事はさらに健康的になります。今年の夏は、ハイレジ食を上手に取り入れながら、無理なく健康管理を続けてみてはいかがでしょうか。
参考文献
・食物繊維の必要性と健康 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト
・Effect of cooling of cooked white rice on resistant starch content and glycemic response – PubMed
申泰鎮(シン・テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。